日々映画

映画を観て感じたこと

2019-01-01から1年間の記事一覧

「幸福なラザロ」アリーチェ・ロルヴァケル

イタリアから、神秘的な雰囲気を纏う1本をご紹介。 時は1900年代、イタリアの小さな農村。働き者の青年ラザロと村の人々は小作制度が廃止されたことを知らずに労働を強いられていた。ある出来事をきっかけに労働搾取が明るみになり彼らは外の世界を知ること…

「ゼロの未来」テリー・ギリアム

鬼才、と名高いテリー・ギリアム監督作品。 近未来。プログラマーの主人公は電話を待っている。彼の仕事はゼロの定理を解明すること。 家に篭りがちな彼の周りを取り巻く社長の息子や憧れの美女。彼が本当に解明しようとしているのは何なのか? 一応ジャンル…

「アダムズ・アップル」アナス・トマス・イェンセン

デンマークからの一本。 どこか不思議な北欧ヒューマンドラマ。 ネオナチ思想に染まる仮釈放中の男、アダムは更生の為田舎の教会で生活を強いられることに。 どこかがおかしい教会の聖職者のイヴァン。 更生中だという武装化思想の移民カリドとアル中のグナ…

「ドッグマン」マッテオ・ガローネ

イタリアギャング映画、歴史的傑作「ゴモラ」。 同監督の最新作が公開。 イタリアの海辺、さびれた小さな街。 犬と、離れて暮らす娘を愛しドッグサロンを営む主人公。 彼はそのお人好しな性格で街の厄介者に気に入られてしまい、気が付けば後戻りのできない…

バンコク

突然ですが先日、タイに行って参りました。 フィルムを現像したんですが特にアップする場所がないので、ここに全写真載せておきます。笑

「永遠に僕のもの」ルイス・オルテガ

70年代、アルゼンチン。 実在した美しき連続殺人鬼を描いた作品。 カンヌ、ある視点部門で上映後、話題沸騰の本作。公開初日に武蔵野館で鑑賞。 欲しいものはどんな手を使っても手に入れ、都合が悪ければ人を殺す。 学校で意気投合したラモン、そしてその父…

「アンノウン・ソルジャー」アク・ロウヒミエス

北欧から最新戦争映画をご紹介。 1941年。ソ連との冬戦争で領土を奪われたフィンランド。それを取り返すべく、同国は国民400万人中50万人を徴兵し、ソ連に挑む。 フィンランドの戦争映画史上、最大予算、最大規模という本作。 戦闘シーンはおそらくかなりシ…

「ハウス・ジャック・ビルト」ラーフフォントリアー

アメリカの実在した連続殺人鬼ジャック。 12年間で66人を殺害したサイコパスをラースフォントリアーがアーティスティックに描く。 飛び散る血、家、車。 赤を基調にした映像で語られる、美を追求するサイコパス。殺人鬼でありなが、彼の感性は私たちが驚くほ…

「BULLY」ラリー・クラーク

先日「アメリカン・アニマルズ」を観たので、便乗して若者による犯罪映画を一本。 アメリカで実際に起きたティーンエイジャーによる殺人事件を映像化した作品。 サーフィン、セックス、ドラックに溺れ、自由奔放な仲間とつるむ日々。そこに彼らの、様々な感…

「真珠の耳飾りの少女」ピーター・ウェーバー

フェルメールの最も有名な絵画「真珠の耳飾りの少女」。 その完成までを描いた作品 画家と家族、家政婦。 裕福とは言えない当時のオランダ。 画家の家で家政婦として働きはじめた美しい少女はその美貌により絵のモデルに。純粋な少女の感性と、家中に蔓延る…

「Candy」ニール・アームフィールド

前回の「哀しみの街かど」に続き、同系統のオーストラリア映画をご紹介 ストーリーは至ってシンプル。 愛し合うふたりはドラックとSEXに溺れる日々を過ごすが、何かが少しずつ壊れていく。 甘さはない。クールでもない。ドラックカルチャーに憧れている訳で…

「哀しみの街かど」ジェリー・シャッツバーグ

アルパチーノ出演作品 舞台はニューヨーク。街の片隅でヘロインに溺れて生きる若者たちを生々しく描いた作品。 そこで出会った男女。愛とともに、底のない沼に溺れる2人。 華やかな街の、裏側の世界が見事に表現されている。 よくあるドラック映画のような…

「アメリカン・アニマルズ」バート・レイトン

まだまだ上映中、注目の犯罪映画を劇場で観てきました。 アメリカで実際に起きた大学生たちによる窃盗事件。その真実を犯人である本人達の言葉を交え再現した作品。 まず犯罪映画として見応えがすごい。 彼らの間に流れた空気。せめぎ合う感情。事件の緊迫感…

「アンダー・ザ・ウォーター」マックス・ケストナー

北欧からのSF映画。 西暦2095年。海面上昇により危機を迎えている地球。世界を救うため、主人公は政府の命令で2017年にタイムスリップし、ある科学者の研究結果を入手する旅に出る。 タイトルと「世界を救えるのか!?」というキャッチフレーズから北欧タッ…

「夜に生きる」ベン・アフレック

監督、脚本、主演ベン・アフレック。 近年稀に見る素晴らしいギャング映画。 禁酒法時代ボストン。ギャングの世界を歩き始める警官の息子、ジョー。 裏社会で動く人と金。そこには裏切りがあり、殺しがあり、愛があり、人生がある。 いやあ本当に面白かった…

藍染工房「Rainy」

私事ですが、長野の藍染工房「Rainy」さんの新作、コースター&ランチョンマットを撮影致しました。‬ ‪昨年、Tシャツのプロモーションをやらせて頂いたのですが、引き続き、新作も最高です。 藍染にしか出せないこの絶妙な色合い、ぜひご覧ください。 ‪お買い…

「アンタッチャブル」ブライアン・デ・パルマ

ギャング映画界のスター的一本。 舞台はアメリカ、シカゴ。ギャングが世を支配する禁酒法時代。 ギャングのボスであるアル・カポネに立ち向かう4人の警官によるギャングアクション。 本当に大っ好きな一本。アメリカ、ギャングに支配された時代の街と人々。…

「バリー・リンドン」スタンリー・キューブリック

18世紀のヨーロッパを生きた一人の男の人生。これキューブリックなんですよね。 絵画のような、18世紀の情景。映像に酔いしれつつ、主人公の波乱な生きざまに惹き込まれる3時間。 初恋に破れ、祖国を離れ、戦争に行き、愛を知り、生きる。 淡々と語られる男…

「霧の中の風景」テオ・アンゲロプロス

テオの映画で一番好き。 美しいロードムービー。 ストーリーは至ってシンプル。父親に会うため家出した姉と弟。ふたりの危なかしくて美しい旅、人々との出会いが描かれる。 よくあるロードムービーの流れを捉えつつ、画面に釘付けになるような、静かで冷たく…

「パイロマニアック」エーリク・ショルビャルグ

ノルウェーからの一本。 舞台はノルウェーの片田舎。消防隊長の父を持つ主人公は兵役を終えて消防団に入隊。 任務をこなしていくにつれ、彼は炎に魅了され、その感性はだんだんと狂気を持ち、村を狂わせ始める。 ああ北欧映画!というテイスト。 晴れない空…

MV制作しました

私事ですが撮影、編集、監督をしたMVが公開されました。 可愛く仕上がってるので是非ご覧ください! https://youtu.be/6TIzfFTZuho

「LOVE」ギャスパー・ノエ

新作「クライマックス」がフランスで公開。(日本での公開日は今年予定。詳細は未定) とのことで彼の作品「LOVE」をレビュー。 美術学校で知り合ったふたりと、同じアパートに引っ越してきた1人の少女。独特な静けさと構図、目が回るように美しい官能の世界。…

「サンセット」ネメシュ・ラースロー

「サウルの息子」監督の最新作。こちらも劇場に足を運びました。 舞台は第一次大戦直前のハンガリー。主人公は亡き両親がかつて経営していた高級帽子店を突然訪れる。彼女が家族のことを探るうち、浮かび上がる裏社会。静かに深まる闇を美しく描いたサスペン…

「ROMA」アルフォンソ・キュアロン

Netflixで話題、アカデミー監督賞、撮影賞受賞の本作。映画館公開を聞いて飛んで観に行きました。 舞台は70年代のメキシコシティ。とある白人の家族とその家政婦。彼らの生活と、激動の時代と、数々の人生においての転機を美しく描く。 本当に素晴らしい作品…

「ホドロフスキーの虹泥棒」アレハンドロ・ホドロフスキー

ホドロフスキー作品の中では突飛した明るさとコメディ要素を含む素敵な一本。 パンダを乗り回し、ペットのダルメシアンを溺愛、売春婦が大好きな変人大富豪が昏睡状態に。莫大な遺産でもめる親族を尻目に、遺産を待ちながら下水道で暮らすろくでなしの甥。 …

「サンタ・サングレ/聖なる血」アレハンドロ・ホドロフスキー

お約束通りカルト映画の巨匠、ホドロフスキーの作品をいくつか。 まずは彼の作品で個人的に一番好きなこちらをご紹介。 サーカス団の両親の間に生まれた主人公。 浮気性の父親を見かねた母親は、怒りのあまり彼に硫酸をかけてしまう。それに応戦した父親は母…

「まぼろしの市街戦」フィリップ・ド・ブロカ

早稲田松竹でデジタルリマスター版を鑑賞。 伝説の反戦コメディ、と名高い名作。 舞台はフランスのとある街。 ドイツ軍による爆破を控え、住人は避難。閑散とした街に残されたのは精神病院の患者たち。 イギリス軍の主人公はフランス語が喋れるという理由に…

「ハンガリー連続殺人鬼」アールパード・ショプシッツ

ハンガリー続きでご紹介。 実話を元にした一本。 部隊は60年代のハンガリー。実在した連続殺人鬼の動向と動く捜査班、街の人々を描く。 当時の社会情勢(ソ連の衛星国で共産圏)を軽く理解した上で観ると良いかもしれない。 殺人鬼の残酷さは、気分が悪くなる…

「サウルの息子」ネメス・ラースロー

ハンガリーからの一本。舞台は1944年。ナチスドイツのもと、ゾンダーコマンドとしてアウシュビッツで働く男を描いた本作。 (ゾンダーコマンドとは、同胞のユダヤ人の死体処理をする特殊部隊のことで、彼らもまたユダヤ人であり、囚人でもある。時が来ると自…

「愛と銃弾」マネッティ・ブラザーズ

まだまだ上映中、ヴェネツィア国際映画祭で最優秀キャスト賞等を獲得した話題のイタリア映画「愛と銃弾」を観てきました。 なんとこちら、マフィア映画にしてミュージカル。まさに異色のエンターテイメント、という言葉がふさわしい。 映画館で観て本当に良…