「アダムズ・アップル」アナス・トマス・イェンセン
デンマークからの一本。
どこか不思議な北欧ヒューマンドラマ。
ネオナチ思想に染まる仮釈放中の男、アダムは更生の為田舎の教会で生活を強いられることに。
どこかがおかしい教会の聖職者のイヴァン。
更生中だという武装化思想の移民カリドとアル中のグナー。
そして何かがおかしい。可笑しい。
彼らの思想、人生、様々な困難が淡々と、どこか可笑しく描かれる。
普段犯罪映画やら、カルト映画ばかり観ているので、久々にこんなに良い映画を劇場で観た、という素直な感想。笑
登場人物達はみなどこか不思議。
物語の淡々とした進みとともにブラックコメディーも満載。重みのある題材ながら気負いせずに観れる作品。
が、この物語、そんな単純なものでは決してない。
特にイヴァンの生き方と思想には、誰しももどかしいような、引っかかるようなものを感じるに違いない。
彼らは一見、お互いを受け入れているようにも見える。見方を変えると全く受け入れていないようにも見える。
彼らが本当に受け入れるべきなのは自分?
それとも真実?
いや、真実って一体何?
さらに、ここまでブラックコメディ混じりながらも響く生と死。これを描く映画もなかなかない。
宗教観が激しく描かれる訳ではないが、物語のキーポイントになるので聖書の「ヨブ記」について知っておくと観やすい。
ほのぼのとして、クスッと笑えて、考えさせられる。素晴らしい映画。
本当観てよかった。ぜひ。