日々映画

映画を観て感じたこと

「幸福なラザロ」アリーチェ・ロルヴァケル

イタリアから、神秘的な雰囲気を纏う1本をご紹介。

 

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時は1900年代、イタリアの小さな農村。働き者の青年ラザロと村の人々は小作制度が廃止されたことを知らずに労働を強いられていた。ある出来事をきっかけに労働搾取が明るみになり彼らは外の世界を知ることとなる。しかしそのときラザロにはある事件が降りかかり...

 

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不思議な映画だ。

 

広大な自然。その中に描かれる村の閉塞感は、ひとりの人間の無力さを投影しているようだ。

 

働き者のラザロ。誰かが望めばその通りに動く。感情は表現しない。

彼の心の拠り所は羊小屋の近くにこっそり作られた秘密基地。

「僕は働き者だ」

じゃあなぜ秘密基地にいるのか、と聞かれたラザロは言う。

「あなたが望んだから」

 

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物語の後半はどこかもどかしく、切ない。

ラザロはそのとき何を思ったのか。

彼の目には何が写っていたのだろうか。

 

その不思議な青年が立ち尽くしたとき、視聴者である私たちの心は間違いなく揺さぶられる。

 

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静かで、切なくて、だけどどこか暖かく、そして神秘的な映画。