「ドッグマン」マッテオ・ガローネ
イタリアギャング映画、歴史的傑作「ゴモラ」。
同監督の最新作が公開。
イタリアの海辺、さびれた小さな街。
犬と、離れて暮らす娘を愛しドッグサロンを営む主人公。
彼はそのお人好しな性格で街の厄介者に気に入られてしまい、気が付けば後戻りのできない犯罪世界に立たされていて…。
さすがゴモラの監督。
危ない雰囲気が終始驚くほど美しく描かれている。
生活の音、晴れない空、夜の消えかかった街頭と、夜明けの空気。
少ないシーンながらにじみ出る閉塞感。
色素の薄い画面に映し出される、主人公の感情。
彼は表に出さない。
今作にはゴモラのときのような、「カッコよさ」だとか「憧れ」は描かれない。
そこにあるのは街の人々の生活。
犯罪とドラッグ社会の現実感。
主演俳優、マーセロフォンテの演技は圧巻。
希薄な表情ながら煮えたぎる感情が素晴らしく表現されている。
さらに劇中に多く登場する犬。彼ら(?)の演技にはもう感嘆しかない。
すさんだ雰囲気が好きな人におすすめ。