「サウルの息子」ネメス・ラースロー
ハンガリーからの一本。舞台は1944年。ナチスドイツのもと、ゾンダーコマンドとしてアウシュビッツで働く男を描いた本作。
(ゾンダーコマンドとは、同胞のユダヤ人の死体処理をする特殊部隊のことで、彼らもまたユダヤ人であり、囚人でもある。時が来ると自らが処理した屍たちと同じように始末される運命であった。)
死のリアルがそこには描かれる。
何も知らずに処理されるユダヤ人たち
死刑宣告を受けたも同然で働く男たち
もがき苦しみ、壁を叩く音。
これぞ今の時代に描かれるアウシュビッツ、だと思った。
あまりの残酷さと映像美で頭に焼きついて離れない。
好きとか嫌いとかではなく、人類史のひとつとして、とにかく観るべきだと思う。
以下個人的な話。
ナチスやソ連収容所が題材の映画や小説を、我ながらかなり観ている方だと思う。
きっかけは、10代のときに読んだ名作、ヴィクトールフランクルの名作「夜と霧」。
ナチスを描く映画はどれも残酷で息が止まりそうになるけれど、知ってるのと知らないのでは人生ちょっと違うと思ってる。