「Candy」ニール・アームフィールド
前回の「哀しみの街かど」に続き、同系統のオーストラリア映画をご紹介
ストーリーは至ってシンプル。
愛し合うふたりはドラックとSEXに溺れる日々を過ごすが、何かが少しずつ壊れていく。
甘さはない。クールでもない。ドラックカルチャーに憧れている訳でもない。そこにあるのはドラックと愛。それだけである。
人は生き方でこんなにも壊れていき、底のない沼に簡単に落ちていく。
妙にリアルな描写で描かれた本作は、日本では有名ではないものの2006年のベルリン国際映画祭で世界中の映画ファンを賛否の嵐に巻き込んだ話題作。
個人的には、これほど素晴らしいドラック映画が他にあっただろうかと思う。
暗すぎる訳でもなく、オシャレでもない。現代で、背景には普通の街と生活があり、家族もいる。数あるドラック映画のなかでは最も身近に感じる作品ではないだろうか。
甘いジャケットからは想像もできないような奥深い映画。
「哀しみの街かど」ジェリー・シャッツバーグ
アルパチーノ出演作品
舞台はニューヨーク。街の片隅でヘロインに溺れて生きる若者たちを生々しく描いた作品。
そこで出会った男女。愛とともに、底のない沼に溺れる2人。
華やかな街の、裏側の世界が見事に表現されている。
よくあるドラック映画のような華やかさはない。そこにあるのはドラックに溺れた人間と街の、リアルな生き様である。
空は晴れない。愛と、交わされる少しの言葉と、ヘロインと、汚い街がそこにはある。
静かな映画が好きな人にオススメ。
本当に素晴らしい作品だと思う。
「アメリカン・アニマルズ」バート・レイトン
まだまだ上映中、注目の犯罪映画を劇場で観てきました。
アメリカで実際に起きた大学生たちによる窃盗事件。その真実を犯人である本人達の言葉を交え再現した作品。
まず犯罪映画として見応えがすごい。
彼らの間に流れた空気。せめぎ合う感情。事件の緊迫感と不安が、若さという独特のベールを纏い美しく描かれる。
そして作品に託されたメッセージが深い。なんとも。素晴らしい。
展開される事件までの流れと、犯人本人たちそれぞれの言葉と感情。
真実とは何なのか。ひとりの視点の回想は真実に値するのか。何が本当だったのか。
また、映像も素晴らしかった。
個人的には冒頭の車窓からの景色の描き方が衝撃的だった。
それを観たとき、ああ、自分はこれから素晴らしいものを観ることになるんだな、素直に思った。笑
ダンケルク、聖なる鹿殺しで我々を魅了したバリー・コーガンの演技も見どころ。ミステリアスな雰囲気と微妙な感情を見事に表現している。
犯人映画好きはもちろん、ドラマ系が好きな人でもかなり観入れる作品だと思うのでぜひ。
↑武蔵野館の展示(東京、新宿)
「アンダー・ザ・ウォーター」マックス・ケストナー
北欧からのSF映画。
西暦2095年。海面上昇により危機を迎えている地球。世界を救うため、主人公は政府の命令で2017年にタイムスリップし、ある科学者の研究結果を入手する旅に出る。
タイトルと「世界を救えるのか!?」というキャッチフレーズから北欧タッチのSFアクションなのかと思いきや、時空移動がメインの話なんですね。オカルト大好きな自分はノリノリ笑。
世界の描写は少ない。視点は主人公の感情の変化や、時空移動の奥深い原理に当てられる。
まさに北欧映画!という絵のタッチは素晴らしい。色素の薄い寒色世界。水平の引き絵。息を飲むような美しいシーンがいくつも。
決して分かりやすい映画というわけでなく、かなり深い。2回観た。
北欧テイスト好きな方、深い映画好きな方にオススメ。映像の流し見も良いかも。
「夜に生きる」ベン・アフレック
監督、脚本、主演ベン・アフレック。
近年稀に見る素晴らしいギャング映画。
禁酒法時代ボストン。ギャングの世界を歩き始める警官の息子、ジョー。
裏社会で動く人と金。そこには裏切りがあり、殺しがあり、愛があり、人生がある。
いやあ本当に面白かった。
禁酒法時代の情景は妙にリアルに描かれ、それらの街は、人と人との感情を飲み込んで、ひとつの作品になっている。
夜の色と活気は現代映画ならではの描き方で、少し前のギャング映画とはまた違った映像の美しさを生み出している。
物語も比較的分かりやすく、どんどん進み、全然飽きない。
キャストも最高。ベンアフレックの他、エルファニングにブレンダングリーソンと大物揃い。
ギャング映画としてはかなり見やすい!そして目が離せないほど面白い!!しかも泣ける!素晴らしい映画!
誰でも楽しめること間違いなし!おススメです!
藍染工房「Rainy」
私事ですが、長野の藍染工房「Rainy」さんの新作、コースター&ランチョンマットを撮影致しました。
昨年、Tシャツのプロモーションをやらせて頂いたのですが、引き続き、新作も最高です。
藍染にしか出せないこの絶妙な色合い、ぜひご覧ください。
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