日々映画

映画を観て感じたこと

「犬が島」ウェス・アンダーソン

あの「グランドブタペストホテル」のウェス・アンダーソンが「ファンタスティックMr.Fox」に続き、日本が舞台のストップモーション「犬が島」を公開。

 

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あけましておめでとうございます。

今年もマイペースに趣味の偏った映画を紹介できたらと思っております。

 

 

ストップモーションといえばシュバンクマイエル!という時代は終わろうとしているようだ。これからは近年のストップモーションにおいて、ウェスアンダーソンの名前が大きく挙がること間違い無いだろう。

 

ちなみに私、この「犬が島」があまりに素晴らしく、新年から「なぜこれを映画館で観なかったのか!?」と後悔する羽目になりました。笑

 

舞台は近未来と戦後の学生運動の時代が入り混じったような日本。

独裁政権のなか、これまで人類と共に生きてきた”犬”は流行病などにより人間の脅威とされ、流刑にされてしまう。

主人公の小林あたり少年は愛犬を探すため、ひとりで島に上陸し現地の犬たちと行動を共にする。そのうち彼らは政治までをも動かすことになっていく。

 

 

とにかく最初から最後まで映像のこだわりが半端じゃない。

 

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犬たちの風になびく毛並み、時に寂しく、時に色鮮やかな島の土地。

ストップモーションでありながら画面の端まで垣間見えるこだわりと遠近感。

一瞬たりとも目が離せない。

 

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設定や世界観にもロマンや皮肉が溢れている。

犬や人間たちは皆母国語を喋るので、物語では終始さまざまな言語が飛び交う。

時代背景も良かった。近未来のように管理された独裁国家。しかしここに出てくる学生たちは60年代、学生運動真っ只中を生きているようだ。

 

さらに犬たちの処理や管理方法は「夜の霧」や「シンドラーのリスト」をありありと連想させた。そう、これはかつて人間の間で行われていた暗い歴史を、多くの人に伝わるように、闇に埋もれないように、色鮮やかに描いたものであろう。

 

 

外国人から見た”日本”はとても不思議な国のようだ。

「島国」のロマンは日本人の私たちよりも海外の人の方がよく知っているのかもしれない。

 

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